フィリップはなぜ、バケットヒルの戦いを傍観したのか?

1247年、20年ぶりに東大陸へと上陸したギュスターヴ13世は、翌1248年にバケットヒルの戦いにてギュスターヴ14世を破り、テルムへと入城します。

 

戦力的にはオート侯カンタールとノール侯フィリップを擁する14世側が優勢でしたが、両者の裏切りにあって14世は敗北しました。

 

しかし、カンタールはともかく、13世を殺したいほど憎んでいたはずのフィリップは、なぜ13世を始末する機会であるはずのバケットヒルの戦いを傍観していたのでしょうか?

今回はこの点について考察します。

きさまが、かあさまを殺したのだ!


バケットヒルの戦い前

フィリップがギュスターヴを憎んでいるのは、ギュスターヴが術不能者であったために、母ソフィーとともに追放されてしまったことが原因です。

 

12年後、南大陸で流行した流行り病でソフィーが亡くなるまで、フィリップがソフィーと会うことは叶いませんでした。

 

ギュスターヴによれば、幼い頃のフィリップはいつもギュスターヴの後をついてくる泣き虫の弟だったといいます。

 

そんなフィリップが突然理由もわからず母と生き別れることとなってしまいます。5歳のフィリップは、その悲しみをギュスターヴへの憎しみに変えることで耐えてきました。

 

バケットヒルの戦い後

バケットヒルの戦い後、ギュスターヴとフィリップが手を組むことを恐れたオート侯は、早々にギュスターヴに下る意思を見せました。

 

このため、フィリップは自らの感情は別にして、ノール領の孤立を防ぐため、ギュスターヴに下る判断をしなければなりませんでした。これにより、3兄弟はテルムの城で20年ぶりの再会をすることになります。

 

実際にギュスターヴを前にしたフィリップは、これまでの想いもあってか「ギュスターヴを殺すために来た」と宣言するものの、兄から母ソフィーのアニマを感じたフィリップはギュスターヴ殺害を思い留まり、和解の一歩を踏み出すことになります。

 

ノール侯領主としての立場と、母ソフィーの想いがフィリップを押しとどめたわけですが、それまではギュスターヴに対する恨みを募らせていたはずですから、バケットヒルの戦いを傍観したのはやや不可解です。このため、フィリップはなぜバケットヒルの戦いを傍観したのか?について考えてみます。

 

 

傍観した理由

自らの手で恨みを晴らしたかった

20年もの間、ギュスターヴへの恨みを募らせてきたフィリップは、戦争の中で兄が倒れることを望まず、自らの手で決着をつけたかったのかもしれません。

このことは、兄弟再会の際のフィリップのセリフからも読み取ることができます。

 

心の底では兄を愛していた

幼いフィリップは、いつも兄の後ろを追いかけてくるほど懐いていました。母を失った悲しみを兄への憎しみに変えて耐えてきたとはいえ、心の奥底では、兄を愛していたのかもしれません。

また、フィリップはバケットヒルの戦いの前年、シュッド侯の次女との縁談を進められますが、これを断り術不能者である三女と結婚しています。鉄仮面と言われ諸侯に恐れられていたフィリップでしたが、この女性には微笑みかけることもあったとか。術不能者である彼女に無意識とはいえ兄を重ねていたのかもしれません。

 

兄弟再会の際に兄に感じた懐かしさも、母ソフィーのアニマを感じたから、というだけでは無いのかもしれません。

 

反シュッド勢力の思惑

そもそもギュスターヴの根拠地となったワイドの家臣達が東大陸上陸を進言したのは、フィニー国内の反シュッド勢力からの働きかけがあったためともいわれています。

シュッド侯の叔父ベルナット伯は、娘をギュスターヴ12世に嫁がせて14世を出産させていたため、14世の即位後発言力が強まっていました。このため、新参勢力であるシュッド派が勢いづくことにノール領諸侯をはじめとする古参勢力は不満を持っていました。

これらのことを考えると、バケットヒルの戦いで14世を半ば見殺しにすることは、上陸前から決まっていたことのようにも考えられます。王位継承権を持ちながらも、ファイアブランドを扱えない13世は王になる資格を持たないことから、14世を排除するための絶好のコマとして利用できたわけです。

 

まとめ

フィリップの複雑な内情や反シュッド勢力の政治的な思惑が、バケットヒルの傍観につながったのではないか?というのが今回の考察でした。

 

皆さんはどう思いましたか?よかったらコメントなどで教えてくださいね。